本:『汝、星のごとく』を紹介します!
今回は、【『汝、星のごとく』の名言7選と感想・あらすじ】を、本:『汝、星のごとく』を基に紹介します。
※本記事にはネタバレが含まれていますので注意してください。
目次
本:『汝、星のごとく』とは?
2023年に本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの長編小説です。
瀬戸内の小さな島で暮らす高校生の男女を中心に物語は進んでいきます。
父親が浮気相手の家に住み着き、精神的に不安定な母親と暮らす暁海。
恋愛に奔放な母親に振り回されて、何度も転校を重ねながらも、自分の好きなことを仕事にしたいと励む櫂。
家庭に問題を抱えた2人は次第に惹かれ合い、一緒に東京に行こうと約束します。
2人の前に立ちはだかる数々の問題にどう立ち向かっていくのか。
本当の正しさ、経済的自由、ヤングケアラーの問題など、多くのことを考えさせられます。
ハナハナおすすめの一冊です。
名言7選と感想
ほな手持ちのカードの中から一番譲れんもんを選ぶしかないやろ
親がちゃんと段取りしてくれるやつらより、俺らは不利やねや。ほな手持ちのカードの中から一番譲れんもんを選ぶしかないやろ
本:『汝、星のごとく』より
高校卒業後の進路について話をしている櫂と暁海。
漫画家の夢を叶えるために東京へ出ることが決まっている櫂に対し、暁海は「島を出たい」という気持ちはあるものの、進路を決めかねていた。
上記は、煮え切らない暁海に対して櫂が放った言葉。
お互い、親に頼ることが難しい状況の中、自分自身で未来を切り開いてきた櫂のたくましい一言です。
また、物語のテーマの一つである「ヤングケアラー」についても考えさせられる言葉ですね。
「なにかぼくにできることはありますか」
「なにかぼくにできることはありますか」
本:『汝、星のごとく』より
恋人に裏切られて自暴自棄になっている櫂の母親。
騒ぎを聞いて駆け付けた常連客達が集まってきて、母親と櫂だけではなく、暁海まで巻き込みそうになってしまった。
上記は、そこへ駆けつけてきた北原先生の一言。
北原先生は、常連客を速やかに追い払い、特に詮索することもなく来た時と同じように颯爽と帰っていった。
北原先生の、静かな中にも本当に櫂と暁海を想っての言動は、これから先何度も二人を救うことになります。
北原先生は、私がこの本の中で最も好きな人物の一人です。
お金があるから自由でいられる
お金があるから自由でいられることもある。たとえば誰かに依存しなくていい。いやいや誰かに従わなくていい。それはすごく大事なことだと思う
本:『汝、星のごとく』より
暁海は、大学進学の援助を受けるために、不倫相手の家に住み着いている父親の元へ向かった。
上記は、そこで父親の不倫相手である瞳子さんから言われた言葉。
瞳子さんについては、大前提として「不倫をしている癖にそんなことを言う資格は無いだろ」と思うこともあります。
しかし、いつも正論で誰の言葉にもブレない自分を持っている強い女性で、櫂や暁海の母親のように誰かに依存せず、自分の思った通り自由に生きています。
瞳子さんが自由に生きられる理由の一つとして、上記で瞳子さんが言っているように「経済的な自由」があります。
日本では、お金の話をすると「嫌らしい」とかあまり良い目で見られない傾向がありますが、それでもお金が無いと誰かに嫌々従わないといけなかったり、依存しないと生きていけないというのは、とても息苦しいことだと感じます。
また、今まで父親に依存してきて、不倫されてもなお父親への依存を続けている母親を見てきた暁海には、瞳子さんの言葉は深く刺さったのではないかと察します。
最後の砦としての正論
「ええ、割り切れません。ぼくたちはそういう悩み深い生き物だからこそ、悩みのすべてを切り捨てられる最後の砦としての正論が必要なんです」
本:『汝、星のごとく』より
暁海は、精神的に不安定な母親のために大学進学を諦め、高校を卒業してから必死で働いて家計を支えてきた。
しかし、この島では女性が稼ぐことができる仕事はほとんど無く、必死で働いても稼ぎは少なく、その他にも、櫂からの借金・母親の負担・島特有の近すぎる人間関係などが暁海にとって大きな負担になっていた。
このままでは、暁海と母親は共倒れになってしまう。
北原先生は、感情は一旦置いておいて、母親のことは正論で割り切る必要があると説いた。
実の母親のことを切り捨てるなんて難しいとは思いますが、実際このままでは母親と暁海は両方ともダメになってしまう可能性が高い。
仕事でもそうですが、感情を優先してどっちつかずで進まない・どんどん悪くなるなら、最後の砦としての正論が必要なこともあるのかもしれませんね。
「ぼくと結婚しませんか」
「井上さん」「はい」「ぼくと結婚しませんか」
本:『汝、星のごとく』より
暁海は、北原先生から「過去の過ち」についてカミングアウトされた。
上記はその後、唐突に北原先生から暁海へプロポーズした場面です。
正直、この場面でのプロポーズは意外すぎて全く想定しておらず驚きました。
しかし、暁海は北原先生に何度も助けられてきましたし、櫂のことは少し気がかりですが、経済的にも精神的にも、暁海にとっては良いことなんだろうと感じました。
正しさなど誰にもわからないんです
「正しさなど誰にもわからないんです。だから、きみももう捨ててしまいなさい」…(中略)…「もしくは選びなさい」
本:『汝、星のごとく』より
暁海は櫂の母親から、櫂が命に関わる病気になったとの連絡を受けた。
それを聞いた北原先生は、暁海に対して櫂の元へ行き、必要であれば一緒に暮らすように促した。
暁海は、北原先生と結婚した身で櫂と生活するということに躊躇したが、北原先生は上記の言葉で暁海を送り出してくれた。
暁海は、一度行ったら櫂の元から戻ってこないかもしれないのに、自分のことよりも暁海の幸せ・やりたいことを優先した北原先生はめちゃくちゃカッコいいですね。
過去に、正しさにとらわれず、自分の思った通りの選択をして後悔しなかった北原先生だからこそ言えた一言だと思います。
あの星たちの中にいるのだろう
櫂の手をにぎりしめる。櫂はもうにぎり返してこない。煌めきながら散っていく、あの星たちの中にいるのだろう。
本:『汝、星のごとく』より
危篤状態の中、櫂はかつて見ることができなかった花火を見るために島に帰ってきた。
色々ありましたが、最後にかつての恋人や知り合いと一緒に花火を見ることができて、櫂は幸せだったと思います。
次々と打ちあがる花火のように散っていった櫂。
物語の最後、悲しいですがどこか救われたような感動的な場面です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
まだ『読んでいない』、もう一度『読み返したい』方はこの機会にぜひ!⬇︎
コメント