【名言14選と感想・あらすじ】同志少女よ、敵を撃て※ネタバレあり、登場人物紹介も(逢坂冬馬)

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今回は、同志少女よ、敵を撃ての名言14選と感想・内容を、本:『同志少女よ、敵を撃て』を基に紹介します。

この記事は、こんな人にオススメ!

・本:『同志少女よ、敵を撃て』の名言、感想、あらすじを知りたい

・『同志少女よ、敵を撃て』が好き

・ハナハナのオススメ本を知りたい

本:『同志少女よ、敵を撃て』とは?

2022年に本屋大賞を受賞した、逢坂冬馬さんの小説です。

舞台は、第二次世界大戦中の1942年のソ連。

それぞれの理由で、狙撃手として戦場に出ることになった少女たちの物語。

ストーリーも本当に面白くて読み応えがあり、狙撃シーンの緊迫感、迫力は実際にその場にいるような感覚になります。

ロシアとウクライナの戦争を知る上でも参考になると思います。

ハナハナが自信を持ってオススメする一冊です。

名言14選と感想

セラフィマの名言

1924年にモスクワ近郊の農村に生まれた少女で、この物語の主人公。

彼女の住む村の周辺では、野生動物による食害が多く、猟銃による駆除が行われていた。

セラフィマも、若くして優秀な狙撃手として、野生動物の駆除に貢献していた。

1942年、セラフィマが18歳の時に、村にドイツ軍がやってきて、村人のほとんどが殺されてしまう。

セラフィマも殺されそうになったが、赤軍によって命を救われる。

その時の赤軍兵士の中に、女性の狙撃兵を育てる訓練学校の教官長をしていたイリーナという女性がいた。

セラフィマはイリーナに目をかけられ、自らの復讐を果たすため、狙撃兵の訓練学校に入り、戦場に出ることになる。

イリーナを殺すつもりでいる

「私はフリッツを倒し、母の仇を討ったら、最後にイリーナを殺すつもりでいる」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

イリーナに「敗北者」と侮辱された上、生まれ育った家や母の遺体など思い出の全てを燃やされた。

そのことから、セラフィマはイリーナを恨むことになるが、後々になってそれは勘違いだったと気づくことになる。

平穏に暮らしていたセラフィマの人生が大きく変わった、序盤の印象的なシーンです。

どのくらいの時間生きられる?

「医学の心得のある人間から見てどう思う? ラシアン弾で腹を撃たれたフリッツが、どのくらいの時間生きていられる?」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

セラフィマがドイツ兵2人を狙撃した後に、拠点に戻ってターニャに言った言葉。

誰も殺せないと思っていた自分が、今では楽しみながら人を撃ち、殺した数を自慢している。

怪物に近づいていく自分への嫌悪と、その一方で怪物で無ければ生き残れないと肯定する自分も存在する。

普通の少女をこんなにも変えてしまう戦争は、やはり恐ろしいですね。

私の復讐は、もっと長く続く!

「あなたが生きることを苦しみと言うのなら、私の復讐は、もっと長く続く!」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

ドイツ人女性を襲う赤軍兵士を目撃したセラフィマは、女性を救うために赤軍兵士を狙撃した。

その後、赤軍兵士の追求を恐れたイリーナは、セラフィマにイリーナを撃つように命じた。

その際に、セラフィマがイリーナに言った言葉が上記です。

セラフィマはイリーナに対しての復讐と言っていますが、この時にはイリーナがセラフィマのことを大切に想っていることに気づいており、復讐心はほとんど無かったと思います。

2人が助かる最善の策を取るために、復讐という建前を使っただけだと思います。

私は、あなたの側にいます!

「私は、あなたの側にいます!」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

目を覚ましたセラフィマは、イリーナの元に走り出し、勢い余って海に滑り落ちそうになったが、イリーナに抱き上げられて助かった。

その後に、セラフィマが言った言葉。

この言葉は、セラフィマのイリーナに対しての全ての想いが詰まっています。

村を焼かれ、家族や大切な人を殺されたセラフィマに、狙撃手として生きる希望を与えてくれた。

自分が悪者になっても、殺意が湧くほどに恨まれても、イリーナはセラフィマを救おうとした。

セラフィマの心が救われたと同時に、彼女たちの戦争が終わった瞬間です。

イリーナの名言

セラフィマが入った狙撃兵の訓練学校の教官長。

また、伝説の女性狙撃兵「リュドミラ・パヴリチェンコ」の元パートナーとして、戦場で98人の戦果を上げた凄腕の狙撃兵。

彼女の訓練は非常に厳しく、訓練学校の半数以上が脱落した。

一見冷徹に見える彼女だが、実際はセラフィマたち生徒のことを思い、優しく導いてくれていた。

戦いたいか、死にたいか

「戦いたいか、死にたいか」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

イリーナが、セラフィマや大切な人を失った少女たちに問いかけた言葉。

この戦争で生き延びるためには、戦うしかない。

一見厳しい言葉ですが、少女たちに生きる意味を与える優しい言葉です。

一カ所に留まるな!

一カ所に留まるな! 自分の撃った弾が最後だと思うな! 相手を侮るな! 賢いのは自分だけだと思うな!

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

イリーナが、セラフィマたちに狙撃手の考え方を説いた言葉。

戦場で平静を保つのは非常に難しく、自分を俯瞰出来なくなったとき、カッコー(ドイツ軍の狙撃兵)の的になります。

少女たちは、戦場に出てその意味を思い知らされることになります。

お前たちが泣くことができるのは、今日だけだ

「忘れるな。お前たちが泣くことができるのは、今日だけだ」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

初めて戦場に出て、初めて敵兵を殺し、大切な仲間を失った。

イリーナが、泣いているセラフィマとシャルロッタに向けて言った言葉。

彼女たちは、これから多くの死を目にして、人が死ぬことに慣れていく。

そうやって感情を殺していくことが、狙撃手として生き残るために必要で、自分の命と精神を守ることになるのです。

子どもとして生きることを諦めたとき

「子どもが遊ばなくなったら、きっとそれは子どもとして生きることを諦めたときでしょうね」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

セラフィマたちは、例え戦場でも自分のルールを作って遊ぶ子どもに出会った。

しかし、目の前で友達を無くした子どもは、遊ぶことをやめてしまった。

大人たちが勝手に始めたことなのに、戦争の中では子供たちはいつも被害者です。

シャルロッタの名言

旧貴族出身の少女で、セラフィマと同じくイリーナに目をかけられて狙撃手の訓練学校に入った内の1人。

射撃の腕前はセラフィマと同程度に高く、モスクワの射撃大会で一位を取ったこともある。

当初は、猟師出身のセラフィマやアヤを目の敵にしていたが、次第に気を許すようになっていった。

天真爛漫で明るい彼女は、狙撃チームのムードメーカー的な存在になっていた。

私はシャルロッタ・アレクサンドロヴナ・ポポワ。

「私はシャルロッタ・アレクサンドロヴナ・ポポワ。誇り高きモスクワの工場労働者の娘であり、イリーナ上級曹長の一番弟子よ!」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

シャルロッタの登場シーン。

当初は、旧貴族出身であることを周囲に隠していた。

ロシア革命後のソ連では、帝国ロシア時代に貴族の多くが海外に亡命しており、日本に亡命してきた方もいらっしゃったようです。

ソ連で肩身の狭い思いをしていたシャルロッタにとって、工場で普通に働くことは憧れだったようです。

アヤの名言

カザフスタン出身の少女で、セラフィマ達と同様にイリーナに目をかけられて狙撃手の訓練学校に入った内の1人。

天性の狙撃手としての才能があり、その腕前は教官長のイリーナが天才と評するほどで、少女達の中では飛び抜けていた。

コミュニケーションがあまり得意ではなく、周囲と衝突することも多々あった。

自由を得るために狙撃を続けている。

射撃の瞬間、自分は自由でいられる。

「射撃の瞬間、自分は自由でいられる。軍隊だの、仲間だの。そういう観念は嫌なんだ。それは自分を、あの瞬間の純粋さから遠ざける。けれど一緒にいると、どうしてもそういう観念に染まってしまう。自分が変わってしまうのは、錆びるみたいで、とても嫌だ」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

カザフスタン人は元々、遊牧民として自由に生活していた。

しかしソ連に組み込まれて、工業化して、街ができて、遊牧で生きることは無くなった。

アヤは、国の都合で振り回されることにうんざりして、射撃の瞬間の純粋さ、自由を求めて狙撃をしている。

異なる民族、異なる価値観を内包するソ連の歪みのようなものが見てとれますね。

ヤーナの名言

狙撃兵の訓練学校の生徒で、セラフィマより10歳年上、最年長の女性。

モスクワ空襲で自らの子どもを亡くし、これ以上子どもの犠牲を増やさないために戦っている。

相性はママで、穏やかな性格と包み込むような包容力は、周囲にとって本当のママのような存在になっている。

例え敵であっても、子どもを守るという強い信念を持っている。

あなたは平和な時代を生きるの

「あなたが大きくなったら、もう戦争は終わっている。あなたは平和な時代を生きるの」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

戦場で出会った子供たちに、大きくなったら、銃の打ち方を教えて欲しいと言われた後のヤーナの返答。

戦場の最前線にいて、平和な未来の世界を想像することは容易ではありません。

事実、セラフィマもこの言葉を聞いて、驚きでスプーンを落としそうになりました。

狙撃手としての闘争心を維持しながら、子供たちの平和な未来を考えている。

ヤーナの子供を想う気持ちはとても強く、それこそが彼女の戦う理由になっています。

オリガの名言

ウクライナ出身の少女で、一族はコサックの家系で前線に赴き全員死亡している。

セラフィマ達と同様に、イリーナに目をかけられて狙撃手の訓練学校に入った内の1人。

表向きはそういうことになっているが、実はソ連の秘密警察である内務人民委員部(NKVD)の一員として、イリーナたちを監視していた。

くたばれ、アバズレ小隊。

「くたばれ、アバズレ小隊。くたばれソヴィエト・ロシア。私は誇り高いコサックの娘だ」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

ソ連と共にドイツと戦うことで、コサックの誇りを取り戻すと語っていたオリガ。

どこまでが本気で、どこまでが嘘なのかは最後まで分からなかったが、実際上記の言葉がオリガの本心を表していたように感じます。

ソ連という歪な集団の中で、オリガもコサックとして必死に生きてきたんだと感じます。

ターニャの名言

看護師として、セラフィマたちの部隊に帯同する少女。

役割は違うが、セラフィマたちと同様にイリーナに目をかけられたことで、衛生兵の教育を受けることが出来た。

敵味方関係無く、目の前に傷ついている人がいれば全力で治療を施す。

多少口は悪いが、ターニャの人を救いたいという信念はセラフィマにとって新鮮で、戦争が終わった後のことを考える上で非常に参考になった。

あたしの前で『スコア』の話をするな

「あたしの前で『スコア』の話をするな」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

ターニャが、スコアの話をするセラフィマを叱った時の言葉です。

ターニャにとっては、敵も味方も関係なくて、傷ついた人は全員治療する対象です。

たとえヒトラーであっても治療するさ

「ああ。というよりも、治療をするための技術と治療をするという意志があたしにはあり、その前には人類がいる。敵も味方もありはしない。たとえヒトラーであっても治療するさ」

本:『同志少女よ、敵を撃て』より

ターニャが、目を覚ましたセラフィマに対して語りかけた言葉です。

本当に、世界の人が全員ターニャみたいな考え方なら、戦争なんて起こってないですよね。

戦争の最前線にいても変わらない、ターニャの芯の強さは尊敬します。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

まだ『読んでいない』、もう一度『読み返したい』方はこの機会にぜひ!⬇︎

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