今回は、本:『旅をする木』の名言7選と感想を紹介します。
目次
本:『旅をする木』とは?
写真家、探検家、詩人で、アラスカをこよなく愛していたことで知られる星野さんのエッセイ集です。
アラスカの美しくも厳しい自然が、穏やかに生き生きと綴られています。
ゆったりとした時の流れは、読む人を引き込んでいきます。
仕事、勉強、家事など、日々を忙しく過ごしている人にこそ読んで欲しい本です。
星野さんの体験を基にした美しく深い言葉たちは、人生の指針になり得ることでしょう。
ハナハナおすすめの一冊です。
『旅をする木』の名言7選と感想
人の一生の短さとは
一年に一度、名残惜しく過ぎていくものに、この世で何度めぐり会えるのか。その回数をかぞえるほど、人の一生の短さを知ることはないのかもしれません。
本:『旅をする木』より
著者が、美しいアラスカの秋について語った時の言葉です。
極北の秋は短いですが、それ故に原野を染める輝くような紅葉は、名残惜しいほどに美しいと言います。
今まで、何万回と繰り返されてきたアラスカの秋でも、一人の人間が見ることが出来るのは、せいぜい数十回です。
限られた機会だからこそ、その一瞬一瞬が儚く、より美しいと感じるのでしょう。
強さと脆さについて
自然はいつも、強さの裏に脆さを秘めています。そしてぼくが惹かれるのは、自然や生命のもつその脆さの方です。
本:『旅をする木』より
アラスカの自然というと、マイナス50度の極寒の中で力強く生きる動物たちや、自然の脅威、逞しさなど、自然の持つ強さに注目することが多いと思います。
実際にアラスカの自然を間近にして、そのスケールの大きさを体感したら、多くの人が圧倒され畏敬の念を抱くのは当然でしょう。
ただ、著者がアラスカに惹かれる部分は、強さよりも脆さだと言います。
アラスカのような過酷な環境では、生と死は隣り合わせで、死は特別なことではありません。
著者の奥様が流産してしまった時に、
「流産する時は、どうやってもしてしまうものよ。自然のことなんだから、それにまかせなさい」
本:『旅をする木』より
という、奥様のお母さんの言葉に安心させられたそうです。
人間も自然の中で、脆さの中で生きています。
脆さ=限界の中で生かされていると思えば、救われることもあるんだろうと感じます。
静かな世界で
時おりどこかで崩壊する雪崩の他は、動くものも、音もありません。夜空は降るような星で、まるでまばたきをするような感覚で流れ星が落ちてゆきます。
本:『旅をする木』より
静まり返った世界、満点の星空の下で、瞬きをするような感覚で流れ星が落ちてくる。
そのような光景、今ではテレビやインターネットで見ることも可能ですが、きっと実際に自分の目で見るのとは違った感情が湧いてくるんだと思います。
星野さんの言葉は本当に美しくて、言葉の持つ力を私たちに教えてくれるようです。
カリブーの群れ
あたりが少しずつざわめいてきた。やがてぼくたちは、金色に光るワタスゲの海の中で、数千頭のカリブーの群れに囲まれていった。
本:『旅をする木』より
著者が、カリブーの群れを追って旅をしていた時の話です。
たんぽぽのように白い綿毛を持つワタスゲが一面に広がる草原。
白夜の光を浴びて金色に光るワタスゲに身を伏せて、数千頭のカリブーの群れに遭遇しました。
太古から存在する本当の意味での野生、原始自然から変わらないカリブーの大群です。
数千頭のカリブーの群れと聞いても、スケールが大き過ぎて想像するのも難しいですよね。
日常からかけ離れた壮大な光景、一度でいいから見てみたいですね。
記憶に励まされる風景
情報が少ないということはある力を秘めている。それは人間に何かを想像する機会を与えてくれるからだ。
本:『旅をする木』より
周囲を4000〜6000メートルの高山に囲まれたルース氷河源流。
雪と氷と岩の壮大な円形劇場と呼ばれるその場所では、運が良ければオーロラを見ることも出来るそうです。
その光景を、感受性豊かな子供たちに見せたいと、著者は11人の子供たちを連れてやってきました。
テレビやスマホなどから、多くの情報を得ることが出来る子どもたちにとっては、全く逆の世界。
無機質な高山、雪、星、岩だけに囲まれた、静けさの中の圧倒的な原始自然の世界です。
その光景から何を感じるかは子どもたち次第ですが、きっと大人になってから、人生の帰路に立った時、ふと思い出して、励まされるような経験になったと思います。
私も子ども時代を思い起こしてみると、夜寝る前に母親から本を読み聞かせてもらった記憶があり、暖かな思い出として励まされることがあります。
今では私も二児の父親となり、子どもに将来自分を励ましてくれるような経験を、少しでもさせてあげられればと思っています。
もう一つの時間
ぼくたちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど大きい。
本:『旅をする木』より
アラスカの海で、著者がザトウクジラに出会った時の話です。
一頭の鯨が目の前の海面から飛び上がり、一瞬空中で静止したと思ったら、次の瞬間ゆっくりと落下していき海を爆発させました。
その圧倒的な光景はブリーチングと呼ばれていますが、鯨がブリーチングをする理由についてはよく分かっていないそうです。
私たちが、日々の仕事や勉強、子育てなどに追われているこの瞬間にも、どこかの海では鯨が飛び上がっているかもしれません。
そう考えると、少し不思議な感じがしませんか?
私たちが、目の前のことに必死で生きているこの瞬間に、もう一つの時間の流れが確実に存在する。
上手く言葉で言い表すのは難しいですが、それを意識出来るだけで何かが変わるんだと思います。
限りあるからこそ
もしこの土地に冬がなければ、そして一年中花が咲き乱れているとしたら、人々はこれほど強く花への想いを持ちえないだろう。
本:『旅をする木』より
アラスカの冬は長く厳しく、人々の短い夏に咲く可憐な花への想いは強いそうです。
「限りがある」ことは、人が精一杯生きるためには必要なことなのかもしれません。
以上、『旅をする木』の名言7選と感想でした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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