【名言14選と感想・あらすじ】本:そして、バトンは渡された※ネタバレあり(瀬尾まいこ)

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今回は、【『そして、バトンは渡された』の名言14選と感想・あらすじ】を、本:『そして、バトンは渡された』を基に紹介します。

この記事は、こんな人にオススメ!

・本:『そして、バトンは渡された』の名言、感想を知りたい

・『そして、バトンは渡された』が好き

・ハナハナのオススメ本を知りたい

本:『そして、バトンは渡された』とは?

2019年に本屋大賞を受賞し、2021年10月には映画化もされた、瀬尾まいこさんの小説です。

瀬尾まいこさんは、私の大好きな作家さんの一人で、人物描写が非常に上手く、普段あまり読書をしない方でも読みやすいと思います。

この作品では、幼い頃から大人になるまでの、主人公優子の心理状態や、歴代の親たちとの微妙な関係性が、自然に表現されています。

基本的には、主人公優子の親がコロコロ変わるという内容ですが、全く暗い話ではありません。

歴代の親たちは、優子のことを一番に思って、誠実に向き合って物語が進んでいくので、どちらかと言うと明るくライトな感じで読み進めていけます。

その中でも、「家族」や「幸せ」など、自分に当て嵌めて考えさせられる深い言葉もあり、個人的には読んで良かったと思いました。

以下で、私が気に入った言葉を紹介させて頂きましたので、是非目を通して頂けたら幸いです。

ハナハナオススメの一冊です。

名言14選と感想

お父さん(水戸さん)の名言

物語に登場する中で、唯一血の繋がっている父親です。

実の母親は、優子が3歳の時にトラックに轢かれて亡くなりました。

優子が8歳になるまでは、実家にも助けてもらいながら、男手一つで育ててきました。

優子が10歳の時に仕事で単身ブラジルに渡り、それを機に梨花とも別れ、優子が結婚するまでは会っていませんでした。

本当にありがとうございます。

「本当にありがとうございます。今日まで育ててもらったことも、連絡してくださったことも、感謝してもしきれません」

本:『そして、バトンは渡された』より

優子の結婚式の日に、お父さんが森宮さんに対して言った言葉です。

優子との13年振りの再会は、時間の隔たりなど無かったように、お互いに近づき言葉を交わしました。

優子のことは、別れた後も大切に思っており、ブラジルから112通もの手紙を送りました。

残念ながら、梨花が手紙を隠していたので、一方的なやりとりになってしまいましたが、返事が返ってこなくても手紙を送り続けたお父さんに、優子に対しての愛情の深さを感じます。

ただ、唯一血の繋がっている10歳の娘を残して、単身ブラジルに行ったのは「えっ?」と思いましたが、やむ終えない理由があったんだと察します。

梨花さんの名言

優子が8歳の時に、お父さん(水戸さん)と再婚して母親になった女性です。

天真爛漫な性格で、生活が苦しい時でも前向きなその姿勢は、優子の支えになっていました。

八歳の生活をもう一回体験できるんだもん。

優子ちゃんと一緒にいると、とっくの昔に過ぎ去ったはずの、八歳の生活をもう一回体験できるんだもん。子どもがいないとできないことっていっぱいあるって知った

本:『そして、バトンは渡された』より

優子の親になった喜びを、梨花なりに表現した言葉です。

私も2児の子を持つ父親ですが、この言葉にはかなり共感できます。

子育ては大変なことの方が多いですが、子どもがいなければ体験出来ないことも多くあります。

そこで、昔を懐かしんだり、子どもの成長を見守ることができるのは、親としての特権だと感じます。

しんどいときもそれなりに笑っておかなきゃ

人に好かれるのは大事なことだよ。楽しいときは思いっきり、しんどいときもそれなりに笑っておかなきゃ

本:『そして、バトンは渡された』より

上記は、梨花を象徴するような明るくて前向きな言葉ですね。

梨花は常に前向きで、お父さん(水戸さん)と別れて生活が苦しくても明るく毎日を過ごしていました。

優子が、何人も親が変わりながらも、深刻にならずに前向きに生きてこられたのは、梨花の影響が大きいように思います。

家とピアノと新しい父親が・・・

「そう。ここ。この家とピアノと、後、中学入学に向けて新しい父親も一緒に手に入ったんだ」

本:『そして、バトンは渡された』より

「ピアノが欲しい」という優子の願いを聞いて、梨花が泉ヶ原さんとの再婚を優子に伝えた時の言葉です。

梨花の行動力は本当にすごいですね。

梨花なりに、優子の期待に答えたいと思って、再婚までしてしまうんですから。

少しやり過ぎな気もしますが、優子を思ってのことなので、これは梨花を褒めた方が良いでしょう。

泉ヶ原さんの名言

優子の小学校卒業式の日から一緒に住むことになった、梨花の再婚相手です。

不動産会社の社長で自宅はとても大きく、防音設備があるグランドピアノが置いてあります。

性格はとても穏やかで、亡くなった妻のピアノを優子が弾いてくれることを嬉しく思っていました。

必要なものがあれば何でも教えてな

「そうだといいけど、必要なものがあれば何でも教えてな」

本:『そして、バトンは渡された』より

泉ヶ原さんは控え目な性格で、仕事が忙しいこともあり、積極的に喋ることはありませんでしたが、いつも優子のことを気にかけていました。

普通、突然中学生の娘を持ったら戸惑うと思いますが、そこは持ち前の懐の深さで受け入れていました。

半年ほどで出て行った梨花のことも、あまり気にしていない様子でした。

そのような泉ヶ原さんの大らかさや安心感のようなものが、思春期真っ盛りの優子からしても、居心地の良い場所だったんだと思います。

だからこそ、僕には自信がない。

「優子ちゃんのことは大事に思う。幸せになってほしいと願ってる。一緒にいた時間は短くたって、優子ちゃんは実の子どものようにかけがえのない存在だ。だからこそ、僕には自信がない。梨花よりもいい親だと言いきる自信がないんだ」

本:『そして、バトンは渡された』より

梨花と森宮さんが再婚することになった時の泉ヶ原さんの言葉です。

泉ヶ原さんは優しくて、不器用で、だからこそ自分に自信が無くて、梨花が再婚して優子が自分の元から離れることを止めることはしませんでした。

でも、優子が言っているように、親になるのに自信なんて必要無くて、むしろ自信を持って親をしている人の方が少数派なんだと思います。

泉ヶ原さんの家で、優子は物質的にも精神的にもかなり安定した生活を送っていて、ずっとこの家にいても幸せだったんじゃないかという気もします。

いずれにしても、優子が泉ヶ原さんの家で過ごした日々は、優子にポジティブな影響を与えたと思います。

森宮さんの名言

泉ヶ原さんと別れた後の梨花の再婚相手です。

梨花の中学時代の同級生で、東京大学を卒業し、一流企業に勤めています。

歴代の親の中で唯一優子の前から去ることが無く、優子とバージンロードを歩きました。

始業式にカツ丼!?

「今日はかつ丼作らなきゃいけないし、優子ちゃんを見送らなきゃいけないから、一時間休みとったんだ」

本:『そして、バトンは渡された』より

高校三年生の始業式の日、森宮さんは優子のためにカツ丼を作りました。

始業式は重要な行事だと、優子を見送るために1時間会社の休みを取ったそうです。

始業式の朝にカツ丼を食べるなんてあまり聞きませんし、高校三年性にもなって、娘を見送るために休みを取るなんて少し過保護な気がします。

森宮さんは少しズレていますが、それでも優子への愛情が伝わる場面です。

親なら娘の合唱コンクールの歌を歌えて当然

「一人で歌っているときは、旅立ってばっかでえらくおおげさな歌だと思ってたけど、ピアノと合わせるといいよな。うっかり羽ばたきそうになってしまうくらい」

本:『そして、バトンは渡された』より

優子は、学校の合唱コンクールの伴奏をすることになりました。

本番前日、伴奏練習に付き合った森宮さんは、なぜか完璧に歌いこなしていました。

娘のために、密かに合唱コンクールの歌を練習していたそうです。

やはりどこかズレているますが、優子はとても嬉しかったようです。

実際にやられたら引くかもしれませんが(笑)。

森宮さんでもたまには怒ります。

「息抜いて、肩の力抜いて。そのうち手まで抜いたんじゃ、どうかと思う。受験は、無理せずほどほどにやるっていうようなことじゃないから」

本:『そして、バトンは渡された』より

短大を受験することにした優子は、受験前最後の日曜日に息抜きで恋人の脇田君と一日中お出かけしていました。

上記は、それを咎めた森宮さんの言葉です。

東大受験を経験した森宮さんの言葉からは、優子のことを心配しているのが伝わってきます。

普段は穏やかな森宮さんが、優子を叱ったのは今回が初めてです。

その後、優子を叱ってしまった罪悪感で森宮さんは腹痛を起こしてしまいました。

そう言うところは、森宮さんらしくて可愛いですよね。

これが俺の手にしたかったものなんだって。

でもさ、優子ちゃんが笑顔を見せてくれるだけで、こうやって育っていく姿を見るだけで、十分だって思える。これが俺の手にしたかったものなんだって。

本:『そして、バトンは渡された』より

結婚式の前日に、森宮さんが言った言葉です。

人は、誰かの役に立てたと思えた時にのみ幸福を感じることが出来る。

上記は、心理学者の『アルフレッド・アドラー』の言葉ですが、私自身、結婚して二人の子供が出来てつくづくそう思います。

子供の頃は、なんで大変な思いをして子どもが欲しいんだと思っていた時期もありましたが、今は自分が幸せになるために子どもを育てるんだと思うようになりました。

優子(主人公)の名言

一人になりたいという気持ちを抱いたことがない

一人になりたいという気持ちを抱いたことがないのは、幸せなことなのだろうか、それとも不幸なことなのだろうか。

本:『そして、バトンは渡された』より

優子と歴代の親たちとの間には、血の繋がった親には無い、綺麗な距離感があると言います。

過ごした期間が短いからこそ、血が繋がっていないからこそ、良い関係を築きたいとお互いに前向きに接する。

普通、年頃の子供であれば、親のことを煩わしく感じることもあるでしょう。

でも、一人になりたいと思わないことが不幸ということは決してありません。

絶妙な距離感を、心地よいと思っている証拠なんだと思います。

どんな呼び名も森宮さんを越えられないよ

「お父さんやお母さんにパパやママ、どんな呼び名も森宮さんを越えられないよ」

本:『そして、バトンは渡された』より

優子の結婚式にて、バージンロードを歩く前の森宮さんとの会話です。

いくら結婚式だって、無理してお父さんと呼ぶ必要は無い。

高校一年生から『お父さん』になった森宮さんとは、最初から最後まで『森宮さん』として関係を築いてきました。

呼び名なんて何でも良いんです。

めっちゃ泣けます。

向井先生の名言

優子の高校2年、3年時の担任の先生です。

冷静で厳しいですが、クラスを落ち着かせる力があります。

50過ぎのベテラン女性教師で、冷たいように見えますが、実は生徒のことをとても見ていて、優子は先生のアドバイスに救われました。

よくあるような親子関係なんて目指さなくたっていいんじゃないの?

「じゃあ、何が普通かはわからないけど、よくあるような親子関係なんて目指さなくたっていいんじゃないの?」

本:『そして、バトンは渡された』より

森宮さんとの関係がギクシャクしている時に、向井先生から言われた言葉です。

ギクシャクしている理由は、お互いに気を使いあって、一歩踏み込めないことにありました。

友達に相談しても、父親のことを邪険に思っている子たちが多く、それにも違和感を感じてしまい、どうすれば良いかわからなくなりました。

理由が分かった向井先生からのアドバイスによって、優子は自分に無理してこうあるべきという親子関係を目指していたことに気づきました。

その後は、発表会も大成功で森宮さんとの関係も良好になりました。

高校生最後の最高の舞台が始まります

明日からみんなを待っているのは今までの引き続きにある場所ではなく、それぞれの新しい場所です。そう思うと、胸を張らずにはいられないでしょう。高校生最後の最高の舞台が始まります

本:『そして、バトンは渡された』より

普段は冷静で厳しい向井先生が、生徒を卒業式に送り出す時の熱い言葉です。

また、この前には先生からクラスメート全員に手紙を渡しています。

手紙を受け取った多くの生徒は涙を流しました。

向井先生めっちゃカッコイイです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

まだ『読んでいない』、もう一度『読み返したい』方はこの機会にぜひ⬇︎

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