半導体プロセスについて解説します!
今回は、「半導体プロセス7つの工程【概要】」について解説していきます。
半導体プロセスについて全く知らない方、異分野から半導体の製造工程に関わることになった方など、初心者向けの記事になります。
半導体プロセスとは?
まずは、「半導体プロセス」について解説していきます。
半導体プロセスとは、半導体製造工程の中で、シリコンウェハの処理を行うプロセスのことです。
インゴットと呼ばれるシリコンの塊から、ワイヤーカットによりウェハを切り出し、半導体プロセスを施します。
この半導体プロセスを施したシリコンウェハから、四角状のチップを切り出すと、電子部品として使われる半導体素子を得ることができます。
半導体プロセスには、大きく分けて7つの工程が存在します。
次章では、半導体プロセス7つの工程の概要を解説していきます。
半導体プロセス7つの工程【概要】
①フォトリソグラフィ
まずは、フォトリソグラフィです。
フォトリソグラフィとは、シリコンウェハ上に回路パターンを生成する工程です。
写真の製版技術を応用しており、「フォトレジスト」と呼ばれる感光性樹脂をウェハ表面に塗布し、回路パターンを焼き付きつける「リソグラフィ」を行います。
フォトリソグラフィ工程の流れは、以下のようになります。
レジストの塗布→露光→現象(→他のプロセス:イオン注入、エッチング、成膜など)→レジスト除去
『半導体プロセスの基礎からわかりやすく丁寧に 半導体工程の概要、インゴットの製造方法、リソグラフィ工程』より
②イオン注入
続いては、イオン注入です。
イオン注入とは、n型半導体やp型半導体を生成するために、シリコンウェハに不純物を注入する工程です。
リンやボロンなどの不純物をアーク放電によってイオン化し、電界加速してシリコンウェハ表面に打ち込みます。
不純物を添加する方法として、イオン注入以外に「熱拡散」がありますが、半導体素子の微細化が進んでいる現在では、イオン注入が主流となっています。
③熱処理
続いては熱処理です。
熱処理とは、イオン注入によって破壊されたシリコン単結晶を、回復させる工程です。
打ち込まれたばかりの不純物は、シリコンの結晶に並ばず不活性なので、格子欠陥が生じて不安定な状態になります。
そのため、結晶格子を整えるための熱処理が必要になります。
イオン注入と熱処理は、必ずセットで行います。
④成膜
続いては成膜です。
成膜とは、回路の基となるアルミニウムや酸化シリコンなどの層を作る工程です。
成膜にはいくつかの方法がありますが、代表的なものは、「熱酸化」「CVD」「スパッタリング」です。
大規模集積回路(LSI)は、半導体膜、配線膜、絶縁膜など多くの膜から成り立っており、成膜はLSIプロセスの最も中心的な工程です。
⑤エッチング
続いてはエッチングです。
エッチングとは、生成した膜の不要な部分を除去する工程です。
エッチングで不要な部分を除去すると、ウェハ表面に回路パターンのみを残すことができます。
エッチングには、大きく分けてドライエッチングとウエットエッチングの2種類があります。
ドライエッチングは、ガスの反応を利用する方法で、ウエットエッチングは薬液の反応を利用する方法です。
⑥平坦化
続いては平坦化です。
平坦化とは、シリコンウェハの表面を研磨して、平坦にする工程です。
シリコンウェハの表面には、微細な凹凸が存在します。
凹凸が残っていると、均一に成膜できないことで断線が起こったり、精密なパターン生成ができないなど、品質と性能の悪化に繋がります。
半導体素子が微細化、高性能化している現在では、非常に重要な工程となっています。
⑦洗浄
最後に紹介するのは洗浄です。
洗浄とは、その名の通りシリコンウェハに付着した異物や汚れを洗浄する工程です。
洗浄は、特定の工程の前か後に実施するため、全工程の20〜30%を占めます。
今回紹介した7つの工程を必要な回数だけ実施して、シリコンウェハを作り込んでいきます。
完成したシリコンウェハを、四角状のチップを切り出すことで(ダイシングカット)最終的に素子が出来上がります。
以上、半導体プロセスについての説明でした。
参考になった半導体関連本
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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