半導体のスパッタリング法(装置)の原理とは?【薄膜の成膜技術】

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ハナハナ
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半導体のスパッタリングについて解説します!

今回は、「半導体のスパッタリング法(装置)の原理」について解説していきます。

半導体のスパッタリングについて全く知らない方、異分野から半導体製造工程に関わることになった方など、初心者向けの記事になります。

この記事は、こんな人にオススメ!

・スパッタリングの意味を知りたい。

・半導体の製造工程に関わることになった 

・スパッタリングについて調べたけど、イマイチ分からない

半導体のスパッタリング法(装置)の原理とは?

スパッタリングとは?

半導体のスパッタリングとは、ウェハ表面に膜を付ける「成膜」の一種です。

まずは、真空容器の中にウェハを入れます。

真空容器の中に、アルゴンなどの他の物質と反応を起こしにくいガス(不活性ガス)を入れます。

不活性ガスに高電圧を掛けてプラズマ化し、アルゴンイオンなどを、ターゲットと呼ばれる円盤にぶつけます。

イオンがぶつかった反動で、ターゲットの材料となっている原子が飛び出し、ウェハに付着することで成膜されます。

ちなみに、スパッタリングのスパッタ(sputter)とは、「叩く」「弾き出す」のような意味があり、イオンがターゲットに当たる場面を表しています。

マグネトロンスパッタリング

ターゲットの裏側に磁石を設置し、スパッタリングの効率を高める方法を、マグネトロンスパッタリングと呼びます。

ターゲットの裏側に磁石を設置すると、ターゲットの周りに磁場が発生します。

磁場は電子を捕らえるため、磁場の中の電子濃度が高まります。

電子がアルゴンなどの不活性ガスに衝突し、そこで発生したアルゴンイオンなどがターゲットにぶつかって成膜されるので、ターゲット付近の電子濃度が高いと、スパッタリングの効率は高まるのです。

現在では、スパッタリングの効率を高めるために、ほとんどの場合マグネットを設置しています。

反応性スパッタリング法

反応性スパッタリングとは、化合物薄膜を生成する技術です。

ターゲットをスパッタ(叩く)する不活性ガスとは別に、酸素や窒素などのガスを導入し、ターゲット元素の酸化物や窒化物などの化合物薄膜を成膜します。

反応性スパッタリングは、化合物のターゲットを使用する場合よりも、薄膜の組成にズレが発生しにくく、高速の成膜が可能です。

膜の均一性を上げる方法

スパッタリングは、ターゲットの原子を飛ばして成膜するため、膜の均一性はそれほど高くありません。

以下、膜の均一性を高める2つの方法を紹介します。

コリメーター法

コリメーター法とは、コリメーター(格子)を設置して、ターゲットから真っ直ぐに飛び出した原子のみを堆積させる方法です。

ターゲットから斜めに飛び出した原子は格子に堆積するため、ターゲットから真っ直ぐに飛び出した原子のみを、ウェハ上に堆積させることができます。

コリメーター法では、膜の均一性を高めることが出来ますが、格子に原子が堆積するため、定期的なメンテナンスが必要になります。

LTS法

LTS法とは、ターゲットとウェハの距離を物理的に長くする方法で、ターゲットから真っ直ぐに飛び出た原子を堆積させることが出来ます。

ターゲットからウェハまでの距離が長いので、ターゲットから斜めに飛び出した原子は、ウェハに届くまでに側壁に当たります。

ターゲットとウェハの距離を確保するために、装置が大型化するデメリットがあります。

以上、半導体のスパッタリング法(装置)の原理についての説明でした。

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