フォトリソグラフィについて解説します!
今回は、「フォトリソグラフィ6つの工程」について解説していきます。
フォトリソグラフィについて全く知らない方、異分野から半導体製造工程に関わることになった方など、初心者向けの記事になります。
フォトリソグラフィとは?
まずは、フォトリソグラフィの概要について簡単に説明します。
フォトリソグラフィとは、シリコンウェハ上に回路パターンを生成する工程です。
写真の製版技術を応用しており、「フォトレジスト」と呼ばれる感光性樹脂をウェハ表面に塗布し、回路パターンを焼き付きつける「リソグラフィ」を行います。
フォトリソグラフィは、半導体素子を製造する「半導体プロセス」の一部です。
半導体プロセスについては、以下の記事で解説しています。
それでは、次章ではフォトリソグラフィの代表的な6つの工程について解説していきます。
フォトリソグラフィ6つの工程
レジスト塗布
まずは、シリコンウェハにレジストを塗布する工程です。
上の図は、スピンコーター(回転塗布機)によるレジスト塗布の様子です。
スピンコーターと呼ばれる指示台の上に、シリコンウェハを固定します。
シリコンウェハを回転させながら、上部のノズルからフォトレジストと呼ばれる液体を滴下していきます。
シリコンウェハは、毎秒数千回の高速で回転しており、遠心力によりフォトレジストの塗膜が形成されていきます。
フォトレジストには、後ほど解説する現像で光が当たった部分が除去されるポジ型と、光が当たらない部分が除去されるネガ型の2種類あります。
プリベーク
続いては、プリベークです。
プリベークとは、レジスト塗布後のウェハを加熱する工程です。
窒素雰囲気内で、約80℃で加熱することで、レジスト中の有機溶媒やウェハ表面のリンス液を揮発除去します。
感光性樹脂が熱分解しないように、温度管理には注意が必要です。
露光
続いては、露光です。
露光とは、マスクに描かれた回路パターンに光を照射し、フォトレジスト上に描いていく工程です。
縮小投影露光という手法では、上の図のようにマスクとウェハの間にレンズを配置します。
マスクに、通常転写するパターンより大きな回路パターンを描いておき、レンズで縮小して転写します。
今までは、マスクとウェハを密着させてマスクに描かれた回路パターンと同じ大きさで転写していました。
近年では、回路パターンの微細化が進み、縮小投影露光が活用されています。
PEB
続いてはPEBです。
PEBとは、Post Exposure Bakeの略称で、露光後のウェハを加熱する工程です。
化学増幅型レジストの場合には、感光反応を完結させるために適切な温度で加熱する必要があります。
化学増幅型レジスト以外の場合にも、露光時の定在波の影響を減らすために、PEBを行うことがあります。
現像・リンス
続いては、現像・リンスの工程です。
現像・リンスでは、余分なレジストが除去され、回路パターンがウェハ上に現れます。
露光後のウェハを、現像液と呼ばれる薬液に浸し余分なレジストを溶かします(現像)。
この過程で初めて、回路パターンがウェハ上に現れます。
現像後、リンス液で数回すすぎ、余分な部分を完全に除去します。
現像が不足すると、余分なレジストが残ってしまい、現像し過ぎると必要なレジストも溶かしてしまうため、現像時間の管理には注意が必要です。
リンス液には専用のものがありますが、純水でも大丈夫です。
ただし、清潔な液を使用することが必要です。
ポストベーク
最後はポストベークです。
ポストベークとは、現像後のウェハを加熱する工程です。
前の工程までの水分が残っていると、蒸発の際に悪影響を及ぼす可能性があるため加熱除去します。
また、加熱によりウェハとレジストの密着性が上がります。
以上、フォトリソグラフィ6つの工程についての説明でした。
参考になった半導体関連本
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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